他人を助けるのと、自身の身の安全と○

JR横浜線・踏切死亡事故:死亡の女性「男性助けなきゃ」 父の目前、踏切へ 毎日新聞 2013年10月02日 東京朝刊  

 横浜市緑区中山町のJR横浜線鴨居−中山間の川和踏切で1日午前、女性が電車にはねられ死亡した事故で、神奈川県警緑署は女性が同区台村町、会社員、村田奈津恵さん(40)だったと発表した。線路上に横たわっていた同区の無職男性(74)を助け出そうとした末の事故だった。男性は左鎖骨を折る大けがだが、命に別条はないという。

 同署などによると、村田さんは父恵弘(しげひろ)さん(67)が運転する乗用車の助手席に乗り、先頭で踏切待ちをしていた。男性が踏切内の奥の線路上にうつぶせで横たわっているのを見つけたため降車し、下りた遮断機の内側に入って助け出そうとしたところではねられたという。

 踏切内に人がいるのに気づいた運転士が急ブレーキをかけ、付近にいた人も非常停止ボタンを押したが間に合わなかった。  踏切は中山駅に近い商店街の一角にあり、警報機、遮断機のいずれも設置されている。同署は男性が踏切内にいた経緯などを調べている。

 ◇「優しい子だった」  亡くなった村田さんの父恵弘さんは1日夕、報道陣の取材に応じ、「小さい頃から優しい子だった。『(助けようとした)おじいさんは助かったよ』と伝えたい」と語った。

 恵弘さんによると、村田さんは現場の西約300メートルの自宅で恵弘さんが経営する不動産会社に勤めていた。線路上にうつぶせで横たわる男性に遭遇したのは、仕事先から恵弘さん運転の車で会社に戻る途中だった。

 助手席にいた村田さんは「助けなきゃ」と言いながらドアを開けて飛び出した。恵弘さんは「やめろ」と制止したが、耳に入らない様子で踏切内に入っていったという。

 恵弘さんは「線路内に人がいたら誰でも『何とかしなければ』と思うはず。力は強くない方だから、助けようとして力尽きたのかもしれない」と肩を落とした。  事故直後、現場に居合わせたため「僕がもっと何かやってあげれば。非常ボタンを押せばよかった」とうなだれる男性がいた。恵弘さんは「あなたの責任ではないよ」と声をかけたという。

 村田さんは数年前から会社を手伝うようになり、関連の資格を取るなど頑張っていたという。恵弘さんは「娘は正義感と言うほど大げさではないが、人より少しはあったかもしれない。小さい頃に一人で本を読んだり、絵を描いていた姿を思い出す。親ながら上手でね」と遠くを見つめるような目をした。

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 昨日とても痛ましい、やるせない踏切事故の報道がありました。今日の朝刊にも載っていました。報道を見て、記事を読んで、あたらめて、自分ならどうするだろう?自分の子らには、どうすべきだと教えるだろう?と考えてしまいました。考え込むあまり、なかなか寝付けませんでした。

 自分の命を顧みず、人助けをする。たとえば、川で溺れている子を見つけて、助けに川に飛び込むとか、火事で家の中に取り残された人を助けようとして、燃えさかる家に入っていくとか、たしかに勇気ある行動なのですが、やはりこれは、美談にしてはいけないのだと思います。自分の身を危険にさらす行為は、推奨されてはならないのだと思います。

 ましてこの場合、報道を見る限り、警報機が鳴ってしばらく経って、遮断機が下りているところを男性が入ってきて、線路にうずくまるか横たわるかしています。そうなると、もう踏み切りに電車が差し掛かるまでほとんど時間がありません。助けに入って、自分もはねられる可能性がとても高くなります。この場合は、非常ボタンを押し、踏み切りの外から男性に声を掛けるのみに留めるのが正解だったのでしょう。

 今回亡くなられた女性は、おそらくとても正義感が強く、優しい方だったのだと思います。目の前で人が危ない目に遭っていたら、取りも直さず助けようとする方だったのでしょう。そういう方こそ、生きて周りの人を、元気づけていってほしかったのに、とても残念で悔しい思いです。だからこそ、こういう良い方が命を落とさないで済むよう、こういった時の対処方法をもっと、皆が知っておくべきだと思います。

 普段、娘たちには、「自分の事だけ考えない」「人には優しく」「正しいと思った事は、即行動」などと教えています。しかし、もしこの教えを忠実に守った結果、命を落とす事にでもなったらと思うと、いてもたってもいられません。そうなると、「まず自分の事を最優先しろ」となってしまうのですが、これはこれで自己中心的で、けっして良い教えではないでしょう。

 他人を助けるのと、自身の身の安全と、二者択一の状況を作らないことが一番なのでしょうが、そういった事態に直面した時に取る行動は、やはり人に寄って違うでしょう。何も考えずにとっさに身体が動いてしまうかもしれません。しかしそれでも、原則、自分の身は危険にさらさないという立場を取るべきであると、冷たい言い方かもしれませんが、わたしはそう思います。

 ちなみに、鉄道各社は、踏み切りにセンサーや監視カメラは設置しないんでしょうか?遮断機が下りた後に、人や車、落下物など、電車の通過の障害になるものがあった場合に、非常ボタンよりも早く、ATS(自動列車停止装置)が働くようにすれば、このような事故をかなり減らせると思うのですが。

 

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