読後レビュー『ここはすべての夜明け前』(ラストにネタバレ)

『ここはすべての夜明け前』間宮改衣著 2024 早川書房

今年の話題作という事で、図書館に予約を入れていたのがやっと順番が回って来て、ようやく読めました。しっかりとした理由、設定があった上での小学低~中学年くらいのひらがなの多さ文体、今から約100年後の未来から00年前(つまり今)の出来事を思い返して描き進める展開に少々面食らいました。以下は、読書メーターに載せたレビューです。

『近未来SF小説なんだけど、また違ったジャンルの小説を読んだ気になった。なんだろう?主人公や登場人物達に共感しそうでしない、理解出来そうで理解出来ない、同情出来そうで出来ない、でも読み終えるとストーリーやラストに納得している自分がいる不思議な小説。 ちょっと「世にも奇妙な物語」を彷彿させるような描写もあり、明らかにフィクションだと分かるのに、もしそうだったら、自分だったらどうするだろう?と真剣に考えてしまった。 人間の幸せとは?心とは?人生とは?そもそも人とは?正解がないものに悩むのはやはり人の常なのか。』

という感想を持ちました。私は、出来るだけ長生きしたくて、1日でも1時間でも先の未来を見続けていたいという欲求を持っています。ただ、主人公のような手術(改造?)を受けて長生きするのは違うのかなと。また、その世界に話す相手が誰もいなくなってしまう孤独には耐えられないかなとも感じました。

私達人間は、記憶と共に生き続ける生き物です。事実に対する解釈の違いで感じ取る真実というのは人に寄って違います。ただ記憶を改ざんして認識している事実から変えてしまうのは禁じ手、やってはならない事だと思うのです。主人公がその禁じ手に手を出す事無く、残り少ない寿命を記憶と共に生きて行く決断をしてくれた事が救いなのかなと感じました。

 

 

 

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